地震が多い日本では、建造物全般において高い耐震性・耐久性が求められます。
阪神淡路大震災以来、社会インフラ建造物の耐震性向上がより強く認識され、各地で耐震補強工事が進められています。
そこで欠かせないのが、建造物を壊さずに内部状況を調べる「非破壊検査」です。
弊社は、特に橋梁(鉄筋コンクリート橋、鋼橋)の耐震補強工事に伴う非破壊検査を数多く手掛けています。
既設橋の多くは旧い耐震基準で設計されており、現在の耐震基準に適合するよう補強工事を行う必要があります。
その工事に先立つ調査から工事中・工事後の品質試験まで、一通りの非破壊検査業務をお任せいただけます。
橋梁の非破壊検査の対象箇所
上部工【床版・高欄・地覆】
下部工【主桁・横桁・梁・沓座・脚柱・フーチング】
橋梁耐震補強⼯事における調査・検査のプロセス
※工事箇所や工法などにより検査項目は異なります。
下記はどんな耐震補強工事においても行う一般的な調査・検査の種類と手順です。
①目視調査
目視及び打検(ハンマーリング)により、躯体を傷つけずに躯体表面の劣化状況や不具合部分の現況確認を行います。
確認項目は、クラック(亀裂)、剥落、膨張、骨材露出、鉄筋露出、錆汁、その他の表面異常などです。
②鉄筋探査
RCレーダ探査機を用い、電磁波の反射波を利用する電磁波レーダ方式にて、コンクリート内部の鉄筋の配筋状態(位置・大きさ)やかぶり厚などを調べます。
既設鉄筋の切断事故を防ぐため、コアボーリング工事や、あと施工アンカー打設工事の前に行います。
非金属の電線管などの埋設物もRCレーダである程度は探査できますが、確実性が求められる場合はX線(レントゲン)を用いてコンクリート内部を撮影する「放射線透過試験」を行います。
ただし、構造物の裏側にX線フィルムを貼れない場合は撮影できません。
現場の状況により、RCレーダによる鉄筋探査はできるがX線による放射線透過試験はできない、またはその逆もありますので、まずはお問合せください。
③アンカーボルト超音波長さ測定(パルス試験)
埋設物を避けた位置でのコア削孔(穴あけ)及び、あと施工アンカーの打設後、超音波探傷器と探触子を用いてアンカーボルトの長さを測定します。
アンカーボルトの打ち込み長さが不足していると、地震が起きた際、ボルトで固定している落橋防止装置などが抜け落ちる恐れがあるため、アンカーボルト全数の超音波測定が義務付けられています。
測定方法:探触子をアンカーボルトの先端に当てて超音波を伝播させ、先端までの伝播時間により長さを測定します。
④アンカーボルト引張試験(あと施工アンカー引張試験)
あと施工アンカー打設後は、長さ測定のほかに設計荷重を満足しているかを確認する必要があります。施工計画書通りにアンカーボルト及び樹脂、コンクリート強度が設計荷重を満たしているかを試験する品質検査が、アンカーボルト引張試験です。
アンカーボルトに関する品質検査には、あと施工アンカーの施工業者が行う自主検査(目視検査、接触検査、打音検査など)と、施工責任者が必要と判断した場合に行う立ち会い検査があります。
立ち会い検査には引張試験装置(油圧ジャッキ)を用い、所定の荷重をかけて抜け出しなどの変化がなければ合格とします。耐震補強工事の場合は、一般的に予想破壊荷重の2/3が検査荷重とされます。
※引張試験装置(油圧ジャッキ)を用いる試験は、本設のアンカーボルトに対する試験と、試験用に打設したアンカーボルトに対する試験があります。
⑤溶接部の非破壊検査(超音波探傷試験、浸透探傷試験)
アンカーボルトで固定された落橋防止装置や補強材など鉄部材の溶接部に溶接不良がないかを確認します。
溶接部の内部の割れなどは超音波探傷試験、表面の開口は浸透探傷試験にて検査します。
以上の調査・検査の後は、ご要求に応じて錆⽌めを施します。
各種の調査・検査については「よくある質問」ページもご参照ください
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