あと施⼯アンカー引張試験の⽬的と仕組み

あと施⼯アンカー引張試験の⽬的

あと施工アンカー引張試験は「あと施工アンカー」打設後に行う品質検査です。
あと施工アンカーは、コンクリート構造物の耐震補強工事に施工される、RC巻立補強や、落橋防止装置等の鉄筋やボルトを樹脂やモルタル、金属アンカー等で固定したものです。

施工不良等であと施工アンカーの引張強度が不足すると(設計荷重に対する耐力不足)、本来の補強性能が低下し、災害時等に橋が崩落する危険が生じます。

そのような危険を未然に防ぐため、「あと施工アンカーの施工が施工計画書通りになされているかの確認」を目的として行う品質検査が「あと施工アンカー引張試験」です。

弊社の対応について

試験⽅式

センターホール型油圧ジャッキの加圧によるあと施工アンカー引張試験
計測器はアナログ・デジタル併用

アンカーの種類

・⾦属系アンカー
・接着系アンカー
・その他のアンカー

異形棒鋼/アンカーボルト(D筋/M筋)

・対応可能サイズ:M6〜M48
・ネジ切りのない異形棒鋼にも対応可能:D6〜D51

異形棒鋼とは、鉄筋棒鋼の表面にリブや節と呼ばれる凸凹をつけた鉄筋です。一般的にコンクリート構造物の補強材料として用いられます。

異形棒鋼とは、鉄筋棒鋼の表面にリブや節と呼ばれる凸凹をつけた鉄筋です。一般的にコンクリート構造物の補強材料として用いられます。

変異測定試験

ご要望により対応

検査内容

※⼀般社団法⼈⽇本建築あと施⼯アンカー協会(JCAA)が定める検査基準に準拠

項⽬ 判定基準 試験・検査⽅法 検査数
⽬視検査 アンカー種類・径・施工位置・本数・角度・突出寸法が、施工計画書および施工確認シート通りであること。接着系アンカーでは、接着剤が母材表面に達していること ⽬視で確認 全数
接触検査 がたつきのないこと。接着剤が硬化していること 直接手で触り検査 全数
打⾳検査 金属音であり、濁音がしないこと。適度の反発があること アンカーの出代部分をハンマーで叩く 全数
⾮破壊検査 アンカーの抜け出しやコンクリートの異常がなく、所定の荷重に円滑に到達すること 設計用引張強度に等しい荷重または耐震補強工事の場合には予想破壊荷重の2/3まで加圧すること アンカー種別・加圧方式ごとに少なくとも3本以上、できれば5本以上

※上記の「非破壊検査」が「あと施工アンカー引張試験」にあたります。

あと施⼯アンカー引張試験(油圧式)の仕組み

検査対象のあと施工アンカーにセンターホール型油圧ジャッキを取り付け、油圧ポンプで所定の荷重をかけてアンカーの抜け出しやコンクリートの異常がなく、目標としている荷重に円滑に到達することで合格とします。

アンカーボルト引張試験

◎引張試験装置(センターホール型油圧ジャッキ)を用いる試験は、本設のあと施工アンカーに対する試験と、試験用に打設したあと施工アンカー(テストアンカー)に対する試験があります。

あと施⼯アンカー引張試験の⼿順

ロングジョイントナットを⽤いるケース

あと施工アンカーのサイズに適合するロングジョイントナットを使用し、センターホール型油圧ジャッキを設置するスペースを確保するため、寸切りボルトと架台を取り付けます。

センターホール型油圧ジャッキをセットします。

ナットとワッシャーを用いてセンターホール型油圧ジャッキを軽く締め付けます。

センターホール型油圧ジャッキに油圧ホースとシリンダーを繋ぎ、油圧パイプに計測機器を接続します。

油圧ポンプのバルブを開いてハンドルを上下に動かし、ゲージを確認しながら所定の設計荷重まで加圧します。

荷重をかけた状態であと施工アンカーに抜け出し等がないかを観察し、可否を判定します。

油圧ポンプのバルブを開いてハンドルを上下に動かし、ゲージを確認しながら所定の設計荷重まで加圧します。
ネジ切りのない異形棒鋼(D 筋)の引張試験について

異形棒鋼⽤のチャックを⽤いることで、ネジ切りがなくても試験を⾏うことができます。

ネジ切りのない異形棒鋼(D 筋)の引張試験についての図
ネジ切りのない異形棒鋼(D 筋)の引張試験についての写真

チャックを⽤いるケース

異形棒鋼にセンターホール型油圧ジャッキをセットします。
コンクリート(母材)に不陸がある場合は(表面が水平でない、凸凹があるなど)調節治具を用いてセンターホール型油圧ジャッキの角度を調節し、ジャッキの中央に垂直に異形棒鋼がくるようにします。

チャックを⽤いるケース:異形棒鋼にセンターホール型油圧ジャッキをセットします。
チャックを⽤いるケース:コンクリート(母材)に不陸がある場合は(表面が水平でない、凸凹があるなど)調節治具を用いてセンターホール型油圧ジャッキの角度を調節し、ジャッキの中央に垂直に異形棒鋼がくるようにします。

センターホール型油圧ジャッキの上に、異形棒鋼のサイズ・形状に応じたチャックホルダーを設置します。
2個のチャックコマで異形棒鋼を挟み、チャックコマの高さを揃えてホルダーに押し込み固定します。

チャックを⽤いるケース:センターホール型油圧ジャッキの上に、異形棒鋼のサイズ・形状に応じたチャックホルダーを設置します。

センターホール型油圧ジャッキに油圧ポンプを接続します。
油圧ポンプのバルブを開いてハンドルを上下に動かし、ゲージを確認しながら所定の設計荷重まで加圧します。

荷重をかけた状態であと施工アンカーに抜け出し等がないかを観察し、可否を判定します。

チャックを⽤いるケース:センターホール型油圧ジャッキに油圧ポンプを接続します。
チャックを⽤いるケース:荷重をかけた状態であと施工アンカーに抜け出し等がないかを観察し、可否を判定します。
荷重値の測定について

弊社では、ゲージ(アナログ荷重計)とデジタル計測器の両方で荷重値を計測・記録します。
ゲージはMPa(メガパスカル)、デジタル計測器はkN/mm2(キロニュートン/平方ミリメートル)と単位が異なるため、MPaをkN/mm2に換算して合致しているかどうかを確認します。

1MPa =0.001kN/mm2
※mm2=油圧ジャッキの受圧⾯積7940 mm2
参考例:225kN の加圧の場合 225,000N/7940 mm2=28.3MPa

所定の荷重をかけた状態でゲージの表示を写真撮影し、デジタル計測器のプリンターにて印字したレシートを出力し、両方を報告書に添付して提出します。

所定の荷重をかけた状態でゲージの表示を写真撮影し、デジタル計測器のプリンターにて印字したレシートを出力し、両方を報告書に添付して提出します。

機材配置の例(簡略図)

⽔平⽅向
機材配置の例(簡略図):⽔平⽅向
機材配置の例(簡略図):⽔平⽅向
鉛直⽅向
機材配置の例(簡略図):鉛直⽅向
機材配置の例(簡略図):鉛直⽅向
機材配置の例(簡略図):鉛直⽅向
機材配置の例(簡略図):鉛直⽅向