Q:「浸透探傷試験」とは何ですか?
A:材料の非破壊検査の一つでPT(Penetrant Testing)試験とも呼ばれます。
対象物表面に検査液(浸透液)を浸透させ、洗浄処理・現像処理を行った上で目視にてきずの有無を確認する試験です。
毛管現象及び知覚現象を利用することで、きずを拡大した形で確認することができます。
対象物の表面に開口したきずの探傷が可能です。非金属材料にも一般に適用できます。
Q:メリットは何ですか?
A:現場で手軽に試験が可能なこと(電源不要)。また、非金属材料など、試験可能対象が多岐にわたります。
Q:きずの幅・深さは分かりますか?
A:欠陥の幅、深さをもとめることはできません。
Q:どのようなきずが分かりますか?
A:検出可能なきずは、表面に開口しているもののみとなります。
Q:多孔質・吸収性のある材質は試験できますか?
A:多孔質の表面をもつ材料や吸収性のある材質は試験できません。
Q:ペンキやメッキの上から試験できますか?
A:できません。ペンキやメッキはまず目視調査を行い塗膜割れやメッキの疑わしい箇所を出し、塗膜やメッキをクラインダーにて剥がして浸透探傷検査を行います。
Q:試験手順を教えてください。
A:以下の手順で行います。
- 前処理:被検査部位の表面を清浄にし、乾燥させます。ワイヤーブラシ、ウエス等を使用します。
- 浸透処理:浸透液(赤色など)を塗布します。
- 洗浄処理:浸透液を除去します。(洗浄液をウエスに含ませて拭き取ります)
- 現像処理:現像剤を被試験部位に吹きかけ毛細管現象を応用して浸透液を表面に吸い出します。
- 観察:目視による観察。ピンホールは斑点として、割れなどは線状など指示模様から判断します。
- 現像液の除去:ウエスで現像剤を拭き取ります。
Q:危険は伴いますか?
A:特に洗浄液は可燃性がありますので、重複作業で火を使用することはおやめください。
Q:1日にどれくらいの量ができますか?
A:浸透探傷試験は電源やバッテリーを必要とせず、機材もコンパクトで軽いおかげで作業が手軽い部類の検査です。溶接線を検査することが多く、1溶接線が長くても(1m)、短くても(0.5m)、それほど試験時間は変わりませんが、作業する状況によって試験時間が変わります。
作業しにくい状況では1日10数部位(10m)程度、作業しやすい状況では1日20部位(20m)以上可能です。
Q:浸透探傷試験はどのような報告書ですか?
A:浸透探傷の1箇所で工程写真を撮り、全箇所の白いパウダー状態の現像写真をデジカメで撮影し、提出します。