非破壊検査とは?
非破壊検査とは、モノを壊すことなく、外観も機能もそのままに、モノの内部を科学的に視る検査の総称です。
さまざまな機材と技術を駆使して、亀裂などの欠陥、腐食など劣化の状態、空洞や異物の存在などを明らかにし、表層についても目視では認知できない微細な傷を検出します。検査結果は、検査方法に応じて数値やX線画像、エコー画像などで確認することができます。
非破壊検査の対象は幅広く、適切な検査方法を選択することによりほぼすべてのモノに適用可能です。
新たに造り出された製品・部品、建造物・構造物の品質検査はもちろん、使用中の製品・稼働中の設備なども非破壊で検査できるため、修繕または取り替えの要否を判断する目的においても高いニーズがあります。また、設計図が現存しない古い建造物・構造物の壁や柱の内部構造を調べるなどさまざまに応用されています。
ストック型社会の推進のためにも、なくてはならない技術です
高品質なモノを造り、古くても価値あるモノの寿命を伸ばし、健全性を維持しながら長く大切に使って未来へ受け継ぐ。そんな「ストック型」の社会への移行が急務となっている中、非破壊検査が果たす役割は今後ますます大きくなっていくと考えています。非破壊検査は「安全・安心」で「持続可能」な社会を創っていく上で不可欠なテクノロジーなのです。
非破壊検査(建築・土木構造物調査)
道路、橋梁、トンネルといったインフラ構造物には建設後50年以上を経たものも多く、老朽化に加えて、地球温暖化などの環境変化による負荷や、地震や水害の影響も懸念されています。
とくに防災の面で早期の対策が必須ですが、国や自治体は財政難により新たな巨額投資は困難な状態、そんな中で対策の主流となっているのが、既設インフラ構造物を対象としたアセットマネジメントです。
弊社は熟練した技術者の眼と機械・科学の眼により、構造物の外部・内部両面からの「調査」「検査」「点検」を担います。また正確なデータの取得および情報処理を行い、構造物のアセットマネジメントで重要となる高精度の劣化予測の助成をいたします。
*アセットマネジメントとは
アセットマネジメントとは、資産の管理・運用を代行する業務のことです。従来は個人及び企業が有するリスク資産(金融資産や不動産など)を対象とした管理・運用代行業務を指していましたが、近年では公共資産(道路や橋梁など)の管理・運用業務にも適用されています。
対応可能業務
事前調査
⽬視調査
⽬視及び打検(ハンマーリング)にて、コンクリート構造物の躯体表⾯の劣化状態を確認します。
コンクリートひび割れ調査
補修の判断材料として:表⾯⽬視調査にてひび割れのサイズを測ります。
鉄筋探査(本数、径、かぶり厚さ)/電縫管調査、シース管調査
耐震補強⼯事等に伴う調査として:コンクリート構造物の内部にある鉄筋、電縫管(溶接管)、シース管等の位置を⾮破壊検査(電磁波レーダ)にて探査します。
空洞、ジャンカ(⾖板)調査
コンクリート打設不良による表⾯・内部の⽋陥を、⽬視及び打検(ハンマーリング)にて調査します。場合によっては⾮破壊検査(超⾳波探査他)も実施します。
アンカー打設後の品質確認
アンカーボルト・ロックボルト超⾳波⻑さ測定(パルス試験)
超⾳波探傷器と探触⼦を⽤い、アンカーボルトやロックボルトの打ち込み⻑さに不⾜がないかを測定します。
アンカーボルト引張試験(あと施⼯アンカー引張試験)
引張試験装置(油圧ジャッキ)を⽤い、アンカーボルト及び樹脂、コンクリート強度が設計荷重を満たしているかを試験します。
コンクリート品質試験
※以下は微破壊検査あるいは破壊検査に類します
圧縮強度測定
推定圧縮強度試験機(シュミットハンマー)にて現場での測定が可能です。確実性を⾼めるには、コアを採取し、試験機関にて圧縮強度機による測定を⾏います。
中性化試験
コンクリートの劣化(通常は⾼アルカリ性→劣化すると中性化)の進⾏度合いを試験します。はつり法、コア法、⼩径コア法、ドリル法、いずれも対応可能です。
現場での簡易的な試験は、構造物へのダメージが少ないドリル法にて⾏います。
アルカリ⾻材反応(ASR)試験
コンクリートの膨張・ひび割れの原因となるアルカリ⾻材反応(アルカリシリカ反応)を、化学法もしくはモルタルバー法等によって判定します。
アルカリ⾻材反応とは:コンクリート中のアルカリ性分と⾻材中の反応性鉱物が化学反応を起こし、膨張性のアルカリシリカゲルを⽣成することをいいます。
塩分含有量測定
コンクリート中の鉄筋の腐⾷原因となる塩分含有量を測定します。ドリル削孔によりコンクリート構造物から少量のコンクリート粉を採取して⽔と混ぜ、塩分濃度計を⽤いて塩化物イオン量を測定します。
非破壊検査(探傷検査)
金属材料の接合部や金属部品などを対象として、表層部および内部の傷・亀裂を非破壊にて検査します。とくに接合の良否は建造物・構造物の安全性や耐久性に大きく影響するため、ごく微細な傷であっても決して見逃せません。
弊社には探傷検査の各種方法のメリット・デメリットを熟知した経験豊富な有資格者が揃っており、検査の対象物・箇所・環境など総合的にみて最適な方法をご提案しています。
対応可能業務
表層部
⽬視検査(VT)
⽬視及び打検(ハンマーリング)にて、構造物のひびわれ、漏⽔または痕跡、剥落、膨張、⾻材露出、鉄筋露出、錆汁、その他の表⾯異常などを確認します。
浸透探傷試験(PT)
材料の⾮破壊検査の⼀つです。対象物の表⾯に検査液(浸透液)を浸透させ、洗浄処理・現像処理を⾏った上で⽬視にてきずの有無を確認します。
磁気探傷試験・磁粉探傷試験(MT)
試験体(強磁性材料)の表⾯に磁⼒線を発⽣させ、そこに磁粉を吸着させてきずを浮かび上がらせ、⽬視での確認を容易にします。
渦流探傷試験・渦電流探傷試験(ET)
試験体(導電性のある鋼材等)に電磁波を当て、電磁波の波形によって鋼材のきずや割れの有無を判断します。
内部
超⾳波探傷試験(UT)
試験体(鋼材の溶接部等)の内部に超⾳波を伝播させ、超⾳波の反射を利⽤して内部のきずの⼤きさや形状を推定します。
放射線透過検査(RT)
医療⽤レントゲンと同様の原理で、試験体(鉄、⾮鉄⾦属、コンクリート等)に放射線を照射して内部を透過させ、内部の構造や⽋陥をフィルムに写して可視化します。
非破壊検査(その他)
歪みゲージを用いて各種の機械や構造物の荷重状態、応力(ストレス)状態などを測定分析する「歪み測定」や、管材(配管・パイプ類)を切断することなく肉厚を測定し残存寿命の予測を助成する「肉厚測定」にも対応しております。
対応可能業務
歪み測定/肉厚測定